京進スクール・ワン富田教室・川越富洲原教室・四日市ときわ教室進路アドバイザーです。
今回の進路コラムは、岐阜聖徳学園大学主催の教育フォーラム2018「深い学びをつくる」~各教科の本質を大切にした授業づくり~を特集します。中央教育審議会委員の上智大学教授が講演されました。
学校教員や岐阜聖徳学園大学の学生が多く参加されていました。
(1)小学校の学習内容がどのように身についていないのか。
問題A
あるパン屋で1個70円のロールパンと1個120円のメロンパンをあわせて10個買ったところ、代金の合計は900円であった。この時、ロールパンとメロンパンをそれぞれいくつ買ったかを求めなさい。
70x+120y=900
x+y=90
問題B
あるパン屋で、1個70円のロールパンと1個120円のメロンパンをそれぞれいくつか買った。ロールパンをメロンパンより2個多くなるように買ったところ、代金の合計は900円であった。このとき、ロールパンとメロンパンをそれぞれいくつ買ったかを求めなさい。
70x+120y=900
( ) →2つ目の式を立式できないことが多い!!
ちなみに、2つ目の式は、x=y+2 or y=x-2 or x-y=2 である。
考察
問題Aはできても、問題Bができないことがある。
パン屋さんでロールパンとメロンパンを買いました。ロールパンをメロンパンを2個多くなるように買ったところ、ロールパンは6個になりました。メロンパンは何個だったでしょう。
6-2=4
→こちらの問題なら立式できる。
※求差はできても、統合的に理解できているかは疑問。
※問題が解けることと、統合的な概念的理解に至っていることは別である。
たし算と引き算を数量関係把握として統合的に理解する。
〇〇〇〇〇〇△△△△ →理解できている。
〇〇〇〇〇〇
△△△△ →理解できていない。
※たし算と求残・求部分の引き算は、同じ数量関係について、求めるものが違うだけ。
(上の図)
※たし算:すべての部分がわかっていて、全体がわからない場合。
※引き算:全体と部分がわかっていて、残る部分がわからない場合。
※求差の引き算の場合のみ、下の図のような数量関係になる。
→中学生はこの違いを統合的に把握していなかった?
→これができないのが、学びの浅い証拠
(2)浅い学び
・個々、バラバラの学び。
・自分と無関係な学び。
(3)深い学び
・浅くない学び。
・知識が相互に、また自分と意味的に関連づく学び。
・既有の知識と、新たに学んだ知識が結びつくこと。
・結びつくような知識を生み出す学び。
※初心者と熟達者では、知識の量は変わらなくても、知識の質(相互の結びつき方、構造化の仕方)が異なる。
・各教科の「本質」を大切にした学び。
(4)育成すべき資質・能力
①知識・技能
何を理解して何ができるか。
②思考力・判断力・表現力
理解していること・できることをどう使うか。
③学びに向かう力・人間性
どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか。
(例)小学校算数科
数学的な見方・考え方を働かせ、数学的活動を通して、数学的に考える資質・能力を次の通り育成することを目指す。
①知識・技能
数量や図形などについて基礎的・基本的な概念や性質などを理解するとともに、日常の事象を数理的に処理する技能を身につけるようにする。
②思考力・判断力・表現力
日常の事象を数理的に捉え見通しをもち筋道を立てて考察する力、基礎的・基本的な数量や図形の性質などを見いだし統合的・発展的に考察する力、数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表したり目的に応じて柔軟に表したりする力を養う。
③学びに向かう人間性等
数学的活動の楽しさや数学のよさに気付き、学習を振り返ってよりよく問題解決しようとする態度、算数で学んだことを生活や学習に活用しようとする態度を養う。
(5)見方・考え方
例1 国語科
自分の思いや考えを深めるため、対象と言葉、言葉と言葉の関係を、言葉の意味、働き、使い方等に着目して捉え、その関係性を問い直して意味づけること。
例2 外国語科
外国語で表現し合うため、外国語やその背景にある文化を、社会や世界、他者との関わりに着目して捉え、コミュニケーションを行う目的・場面・状況等に応じて、情報や自分の考えを形成、整理、再構築すること。
例3 総合的な学習
各教科等における「見方・考え方」を総合的に働かせて、広範な事象を多様な角度から俯瞰して捉え、実社会や実生活の文脈や自己の生き方と関連付けて問い続けること。
例4 特別活動
各教科等における見方・考え方を総合的に働かせて、集団や社会における問題を捉え、よりよい人間関係の形成、よりよい集団生活の構築や社会への参画及び自己の実現に関連付けること。