川越富洲原教室 教室長代理(進路アドバイザー)です。
今回の進路コラムは、国立青少年教育振興機構が、昨年公表した日本・アメリカ・韓国・中国の4か国で調査された「高校生の勉強と生活に関する意識調査」の結果を特集します。
日本の高校生の調査結果は、
「ノートは取るが授業は受け身になりがちで、試験前の勉強は一夜漬け。」
といった勉強スタイルが浮かび上がっています。
勉強スタイル調査
勉強や生活の意識を把握するため国立青少年教育振興機構などが実施した。
日本約2000人、アメリカ約1500人、中国約2500人、韓国約1800人の高校生が答えた。
日本の高校生の主な特徴
一夜漬けが多い。
日本の高校生は、勉強の仕方について「試験の前にまとめて勉強する」が多い。
一方、自分で整理しながら勉強する」「できるだけ自分で考えようとする」「教えられた通りに勉強する」「参考書をたくさん読む」「勉強したものを実際に応用してみる」「教わったことを他の方法でもやってみる」は、アメリカ・韓国・中国に比べて低い。
また、勉強時間を見ても、学校の宿題とそれ以外の勉強を「しない」と回答した者の割合は、日本がアメリカ・韓国・中国に比べて高い。
受け身的な授業が中心となっている。
日本は、授業形態について「教科書に従って、その内容を覚える授業」が多い。
いろいろな教材や教具を活用する授業や、生徒個人やグループで調べる授業などがアメリカ・韓国・中国に比べて少ない。
勉強の態度が消極的である。
日本の高校生は、授業中の態度について「きちんとノートをとる」が多く、発言やグループワークへの参加に消極的である。
また、「居眠り」が他の3か国に比べて多い。
ふだん、「予習・復習をする」も、アメリカ・韓国・中国に比べて少ない。
ICT(情報通信技術)の活用が少ない。
日本の高校生は、アメリカ・韓国・中国に比べて、パソコンの利用、プログラミング、インターネットを利用して勉強することなど、情報通信技術の活用が少ない。
体験学習が少ない。
日本の高校生は、自然の中での体験活動、ボランティア活動、勤労体験活動、科学の実験や見学といった学習活動がアメリカ・韓国・中国に比べて少ない。
また、これらの活動が好きだと回答した者も少ない。
控えめな人生目標
日本の高校生は、人生目標について多くの項目で肯定率が低い。
特に「高い社会的地位に就くこと」「リーダーになること」「有名な大学に入ること」への願望が低い。
また、将来受けたい教育水準も、日本の高校生の6割強は4年制大学の進学に止まり、アメリカ・韓国・中国に比べて大学院志望が少ない。
主な調査結果
試験前にまとめて勉強する。
日本 : 69.3% アメリカ: 69.0%
韓国 : 56.4% 中国 : 48.4%
できるだけ暗記しようとする。
日本 : 45.0% アメリカ: 80.5%
韓国 : 48.2% 中国 : 27.7%
できるだけ自分で考えようとする。
日本 : 33.3% アメリカ: 61.8%
韓国 : 34.0% 中国 : 64.9%
教えられた通りに勉強する。
日本 : 23.7% アメリカ: 73.6%
韓国 : 51.9% 中国 : 34.5%
問題意識を持ち、聞いたり調べたりする。
日本 : 12.3% アメリカ: 34.5%
韓国 : 10.4% 中国 : 52.7%
参考書をたくさん読む。
日本 : 10.4% アメリカ: 14.0%
韓国 : 24.4% 中国 : 50.3%
勉強したことを実際に応用してみる。
日本 : 10.2% アメリカ: 65.5%
韓国 : 14.5% 中国 : 34.2%
教わったことをほかの方法でもやってみる。
日本 : 7.5% アメリカ: 45.8%
韓国 : 10.4% 中国 : 25.9%
いろいろな教材や教具を使って教える授業。
日本 : 25.0% アメリカ: 46.4%
韓国 : 28.5% 中国 : 68.9%
個人で調べたり、まとめたり、発表したりする授業。
日本 : 16.6% アメリカ: 62.0%
韓国 : 28.5% 中国 : 44.9%
グループワークの時には積極的に参加する。
日本 : 25.3% アメリカ: 68.1%
韓国 : 54.2% 中国 : 45.4%
授業中、きちんとノートをとる。
日本 : 79.4% アメリカ: 60.8%
韓国 : 50.8% 中国 : 67.7%
Wordなどの文章ソフトを使う。
日本 : 20.8% アメリカ: 85.6%
韓国 : 50.9% 中国 : 36.4%
Power Pointなどのプレゼンテーションソフトを使う。
日本 : 11.1% アメリカ: 74.5%
韓国 : 64.1% 中国 : 32.3%
学習ソフトやアプリを使って勉強する。
日本 : 29.2% アメリカ: 64.3%
韓国 : 39.6% 中国 : 72.7%
国立青少年教育振興機構の分析
板書を写すといった昔ながらの授業で、生徒は受身のままである。
生徒が課題を発見し、解決する取り組みを促すよう教員の授業観の改善が必要であると分析している。
参考文献: 高校生の勉強と生活に関する意識調査報告書(国立青少年教育振興機構)、 毎日新聞