文部科学省講演 「学習指導要領改訂の動向」③ ~学習指導要領の改訂のポイント 編~

川越富洲原教室 教室長代理(進路アドバイザー)です。

2017年3月下旬の新作です。

今回の進路コラムは、「文部科学省の初等中等教育局の担当者による学習指導要領改訂に関する講演」特集の第3回です。今回は、新学習指導要領での変更点を中心に掲載します。なお、正式発表直前の情報です。

 

(1)小学校

①授業時数

外国語活動が小3・小4に週1回外国語が小5・小6に週2回導入されることにより、授業時数が増加しています。なお、外国語については、60分授業にしたり、短時間で週3回にしたりするなど柔軟な対応を認めている。

 

〈年間授業時数の変更〉

1年生  850 →  850

2年生  910 →  910

3年生  945 →  980

4年生  980 → 1015

5年生  980 → 1015

6年生  980 → 1015

②プログラミング教育

→教科の新設ではなく、総合的な学習の時間・理科・算数・音楽・図画工作などの教科の中でプログラミングに触れる時間をつくる。

 

1.必要性の背景

自動販売機やロボット掃除機などは、魔法の箱ではなく、プログラミングによって人間が意図したことを行わせることができるということを理解できるようにしていくことが時代の要請である。

 

2.プログラミング教育とは

子どもたちに、コンピュータに意図した処理を行うように指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育成するもの。(プログラムのための言語を覚えるものではない。)

 

3.プログラミング的思考とは

自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくか、といったことを論理的に考えていく力。

 

4.育成すべき資質・能力

【知識・技能】

身近な生活でコンピュータが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気づくこと。

【思考力・判断力・表現力】

発達の段階に即して、「プログラミング的思考」を育成すること。

【学びに向かう力・人間性等】

発達段階に即して、コンピュータの働きを、よりよい人生や社会づくりに生かそうとする態度を涵養すること。

 

(2)中学校

→授業時数を含め、大きな変更はない。ただし、小学校と高校の学習指導要領が大きく変わるため、小学校から高校への橋渡しとして、極めて重要な役割が期待されている。

 

 

(3)高校

→新学習指導要領の発表は、1年後のため、現段階における改定の方向性を示します。

→一部の教科を除き、大きな改訂が予定されています。ただし、必修単位数は現行通りを原則としています。

 

①国語

現代の国語(必修)・・・実社会・実生活に生きて働く国語の能力を育成する科目(いわゆる現代文)

言語文化(必修)・・・上代から近現代につながる我が国の言語文化への理解を深める科目(いわゆる古典や明治時代の作品)

論理国語・・・文章を多面的に理解し、論的に表現する。(いわゆる現代文の評論分野など)

文学国語・・・心情や情景を味わう。(いわゆる現代文の小説、詩歌など)

国語表現・・・自分の考えを適切かつ効果的に表現する。(いわゆる作文・小論文などの文章表現など)

古典探求・・・古典の意義や価値について探求。

 

②地理歴史

近現代の世界史・日本史や地理が必修化されます。

地理総合(必修)・・・現代の地理的な諸課題を考察。

地理探求・・・世界の諸事情を考察し、現代日本に求められる国土像のあり方を探求。

歴史総合(必修)・・・世界とその中の日本について、現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史を考察する。

日本史探求・・・総合的に広く探求。

世界史探求・・・地理的条件や日本の歴史と関連付けて広く深く探求する。

 

③公民

公共(必修)・・・現代社会の諸問題の解決向けて、自立するとともに他者と協働して、公共的な空間をつくる主体として選択・判断の基準を身に付け、考察する。

倫理・・・倫理的課題について探求

政治経済・・・国家及び社会の形成により積極的な役割を果たす主体を育むために、現実社会の諸課題を広く深く探求する。

 

④数学

・理数科新設に伴い、数学活用を廃止。数学活用の内容は、数学A・数学B・数学Cに移行

数学Cを新設。「データの活用」などが含まれる。

 

⑤理科

・理科課題研究の廃止。(理数科新設の影響)

 

⑥英語

英語コミュニケーションⅠ Ⅱ Ⅲ・・・「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」を総合的に育成。

論理 表現Ⅰ Ⅱ Ⅲ・・・「話すこと」「書くこと」を中心とした発信力の強化。言語活動が中心。

※「英語コミュニケーションⅠ」と「論理・表現Ⅰ」が必修

 

⑦理数

→新設教科

理数探求基礎・・・探求の手法について学び、実験や観察の進め方や分析の方法を考え、探求を実施。

理数探求・・・基礎で身につけたことを活用し、さらに質を高めるため、大学や企業などからの支援をうけて探求を進める。

 

⑧家庭

→家庭基礎と家庭総合に統合

 

⑨情報

→「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」という形態に衣替え。

 

 

今回はここまでとします。次回は、アクティブラーニングの視点からの授業改善などを中心に掲載します。

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