今後の大学入試の方向性と高校での評価 ~前編~

川越富洲原教室 教室長代理(進路アドバイザー)です。

 

今回の進路コラムは、センター試験終了後の新入試と、新入試制度に向けての高校での評価について特集します。

平成29年5月中旬に文部科学省が発表した平成33年度大学入学者選抜(実施案)の概略を掲載します。

〔現在の中3以下に適用〕

前編では、大学の入試制度(実施案)を、後編では、高校での評価(改正案)を取り上げます。

 

(1)新大学入試の概略

①総合型選抜(仮称)

現在のAO入試

・出願  現行の8月から9月以降に変更

・合格発表  11月以降に変更

 

②学校推薦型選抜(仮称)

現在の推薦入試

・出願  現行通り11月以降

・合格発表  現行の11月から12月以降に変更

 

※①②ともに、従来は学力評価を不問とできるような制度になっていたが、新制度では学力試験や小論文等で、学力評価を行うことになる。

 

③一般選抜(仮称)

現在の一般入試

1月25日~3月25日の間に実施するものとする。

※ただし、大学入学共通テスト(仮称)の追試験・再試験の翌日以降とする。

 

 

(2)大学入学共通テスト(仮称)

従来、「大学入学希望者学力テスト(仮称)」と呼ばれてきたが、「大学入学共通テスト(仮称)」と改称された。

平成32年度(平成33年度入学者選抜)から正式に実施。

 

〔プレテスト〕

平成29年度  高2以上  5万人規模

平成30年度  高3    10万人規模

平成31年度  確認プレテスト 詳細未定

 

〔大学入学共通テストの実施時期〕

1月中旬の2日間

 

①英語

〔A案〕

民間の4技能試験を活用

 

〔B案〕

民間の4技能試験 または 大学入試センターのReadingとListening(マーク式)のいずれか、または双方を選択し活用。

ただし、大学入試センター作の試験の実施は平成35年度まで。

 

※民間試験は、高3の4月~12月に2回受験でき、良い方の成績を利用できるようにする。(試験は、全都道府県で複数回実施)(浪人生の対応は未定)

 

 

②国語

80字~120字程度の記述式問題を3問程度出題。マーク式と同じ時間内に実施。記述式の試験範囲は、「国語総合」(古文・漢文を除く)の内容とする。試験時間は100分程度を想定している。

多様な文章や図表など(行政資料や契約書などを含む)をもとに、複数の情報を統合し構造化して考えをまとめたり、その過程や結果について、相手が正確に理解できるように根拠に基づいて論述したりする思考力・判断力・表現力を評価する。

 

 

③数学

記述式の出題科目は、「数学Ⅰ」「数学Ⅰ・数学A」とし、出題範囲は「数学Ⅰ」の内容とする。3問程度を予定。テスト時間は、70分を想定している。

図表やグラフ・文章などを用いて考えたことを数式などで表したり、問題解決の方略などを正しく書き表したりする力などを評価する。特に、「数学を活用した問題解決に向けて構想・見通しを立てること」に関わる能力の評価を重視する。

 

 

④その他(全体的に)

マーク式問題の見直し

思考力・判断力・表現力を一層重視した作問への見直し

・出題者が問題文で示した流れに沿って解答するだけでなく、問題解決のプロセスを自ら選択しながら解答する部分が含まれるようにする。

・複数の資料を提示し、必要な情報を組み合わせ思考・判断させる。

・学んだ内容を日常生活に結びつけて考えさせる。

・他の教科・科目や社会との関りを意識した内容を取り入れる。

・正解が一つに限られない問題とする。

・選択式でありながら複数の段階にわたる判断を要する問題とする。

・正解を選択肢の中から選ばせるのではなく必要な数値や記号等をマークさせる。

 

※平成36年度(平成37年度入学者選抜)から新学習指導要領に対応したテストとし、実施内容も一部改訂される予定。

 

 

(3)高校生のための学びの基礎診断(仮称)

→これまで、「高校基礎学力テスト」としていたものを改称した。

 

平成31年度から実施。

国語(国語総合)、数学(数学Ⅰ)、英語(コミュニケーション英語Ⅰ)の3教科で実施する。英語は4技能を評価する

・民間試験を活用する。どの試験かは未定。

知識・技能を問う問題を中心に、思考力・判断力・表現力を問う問題をバランスよく出題。

 

 

 

前編はここまでとします。後編では、高校での評価と題して、評定平均の扱いや、推薦書などの大学への提出書類の面から、どのように評価されるかを掲載します。

 

 

参考文献:文部科学省発表文書  毎日新聞

 

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