「地方大学」振興に、東京の大学新増設抑制へ。 ~前編~

川越富洲原教室 教室長代理(進路アドバイザー)です。

今回の進路コラムは、政府の「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」の内容について、大学の部分を中心に特集します。

この会議では、東京23区内の大学の定員増を認めず、既設学部等の「スクラップ&ビルド」を提言しています。

前編では、大学の現状を中心にまとめます。

大学を巡る現状

国立大学

各時代の社会的要請を受け、自然科学や人文科学、社会科学などの多様な進学需要に対応する受け皿として幅広く学部・学科等を整備し、多様な人材の育成を行ってきた。

私立大学

「建学の精神」や理念を中心に据え、特色ある教育を行うとともに、大学数及び学生数の約8割を占めるなど、量的な側面でも各地域における高等教育の機会の確保に貢献してきた。

短期大学

自県内の進学率及び自県内就職率の推移が4年制大学に比べて高く、特に幼児教育や医療、福祉の分野で、地域の専門的職業人の養成で重要な役割を担ってきた。

改革に意欲的な大学

国立大学・公立大学・私立大学を含めて、改革に意欲的な大学では、近年の社会情勢の変化に対応した学部・学科の再編に取組んでいる。

また、地域に入り込んだ課題解決型の実習の導入など、特色ある教育研究の実施や産官学連携による地方創生に向けた取り組みも始動している。

大学の課題

地方国立大学の「総合デパート」化

特に地方の国立大学は、広範囲の学問分野にわたって「総合的な人材育成」を担ってきた一方で、どの分野に重点を置いた人材育成を目指しているのか、大学の特色がつかみにくいとの指摘が少なくない。

そのため、「総合デパート」としてだけでなく、「地方のニーズ」を踏まえた組織改革を加速し、それぞれの「特徴・強み」をさらに強化する必要がある。

大学の現実と理念

大学・短大への進学率が約6割と「大学の大衆化」した現実と、「学術の中心」という教育基本法に掲げる大学の理念が乖離し、学術研究面と実践教育面の双方においても、十分に応えられていない大学が多いのではないかとの指摘もある。

地域のニーズ・期待への対応

大学は産業構造の変化に十分対応できず、成長分野のビジネスや地方産業につながる人材育成、研究成果の創出で、地域のニーズや期待に十分応えていないとの指摘もある。

新たな学問分野への対応

大学に求められる新しい学問分野への対応は、新学部・学科の設置以外に、柔軟に分野融合的な「教育プログラム」を作れるようにすることも重要である。

東京一極集中の現状と課題

大学進学者収容力

都道府県別の大学進学者収容力(各県の大学入学定員÷各県に所在する高校卒業者のうち大学進学者数×100)には大きな地域差がある。

近年の大学進学者収容力は東京と京都が約200%、愛知・大阪など7府県が約100%であり、その他は100%を下回っている。

特に、長野・三重・和歌山は約37%となっている。

東京圏への進学理由にも留意

東京圏への進学希望が多い理由として、東京にいたほうが有利であると感じることや、一度は都会生活を経験したいといった希望がある。

東京の大学の入学定員の抑制や削減を検討するに当たっては、こうした点にも留意する必要がある。

後編に続きます。

参考文献: 旺文社の資料「地方大学振興に、東京の大学新増設抑制へ」