川越富洲原教室 教室長代理(進路アドバイザー)です。
今回の進路コラムは、大学教育における「第2外国語」を特集します。
大学のグローバル化が進む中、語学教育の二極化が進んでいる。
大学の一般教養科目には外国語科目があり、英語をはじめ複数の国の言語が用意されていて、選択できるようになっている。
(英語だけの受講でよい大学もある。)
この外国語科目を見直す大学が出てきている。
(1)英語集中型
大学によっては、第2外国語を必修から外し、「使える英語」の習得に集中させる動きがある。
英語の卒業必要単位数を増やして、まず英語を使える学生を育てようとしている。
第2外国語も希望者は選択できるようにしている。
大学によっては、必修にしていなくても、第2外国語の必要性をアピールしているケースもある。
(2)アジア中心の第2外国語
大学によっては、「教養」としての第2外国語から脱し、アジアを中心とした諸言語に力を入れる動きがある。
ドイツ・フランス・中国などの話者数の多い言語中心だった第2外国語の選択の幅を広げる動きもある。
ある大学では、「中国・韓国・ベトナム・タイ・マレー・インドネシア・スペイン」の各語に注力している。
英語プラス1言語を学ぶのが基本だ。留学生が多いと、「友達と話したい」という思いが学ぶ意欲を生んでいるようだ。
また、別のある大学では、「中国・韓国・ロシア」の3言語を第2外国語の選択肢としている。
これらの言語と連動して、「中国・朝鮮半島・モンゴル・東シベリアと日本の北東アジア地域を学ぶプログラム」も展開している。
授業では原語資料を読みこなし、毎年何人かが現地へ長期留学している。
(3)第2外国語を使える外国語に
一般に第2外国語の授業で学んだだけでは、専門科目の履修や就職に活かすには程遠いのが現実である。
ある大学では、第2外国語を「使える外国語」にする試みを展開している。
現地の語学学校で研修を受ける第2外国語履修生に奨学金を支給する制度があり、50年以上の歴史がある。
昨年度はタイ、インド、オーストリアなど7か国で学んでいた。今年度の4年生から、第2外国語およびその言語に関連する専門科目を24単位以上取得した学生に修了証を授与する制度を導入する。
(4)手話も選択肢に
「言語」の枠を広げる動きもある。
ある大学の福祉系の学部では、第2外国語の一つとして手話を開講している。2008年度の学部開設以来、毎年4人に1人が履修している。
言語学習とは、その背景にある文化、習慣、社会、歴史なども学ぶことだ。日本にも言語の多様性があることに気づいてもらいたいと手話を第2外国語に位置付けた理由を説明する。
履修生の中には「手話通訳士」を目指す学生も表れているという。
「英語特化」か「多言語」か。各大学の模索はまだまだ続きそうである。
※参考文献: 毎日新聞